CXPI評価ボード《S810-CXG4》
車載通信CXPIの評価・開発を効率化
車載ネットワーク開発における新たな選択肢
自動車のボディ系システムにおいて、LINの後継として注目されるCXPI(Clock Extension Peripheral Interface)。 スレーブノードからのイベント送信と柔軟なネットワーク構成を実現するこの次世代規格に、いち早く対応することが競争力の鍵となっています。
CXPI導入における開発課題
- CXPIの新規格に対応した評価環境の構築が困難
- 既存のCAN/LINネットワークとCXPIの混在環境での検証が複雑
- CXPIマスター/スレーブ両モードでの動作確認に時間がかかる
- ゲートウェイ機能の実装と評価に適した環境が少ない
- 実車に近い条件でのCXPI通信品質の検証が難しい
S810-CXG4による課題解決
CXPI評価ボード《S810-CXG4》は、車載LAN導入黎明期から実績を積んできたサニー技研が、次世代通信規格CXPIにいち早く対応した評価ボードです。CXPI通信とCAN通信を同時に扱え、ゲートウェイ評価から実車環境シミュレーションまで、幅広い開発ニーズに対応します。
CXPI評価ボードの特長
車載通信CXPIに対応

CXPIとCANの統合評価環境
ROHM製BD41000AFJ-C CXPIトランシーバとNXP製TJA1040T CANトランシーバを搭載。次世代のCXPI通信と既存のCAN通信を1枚のボードで評価可能です。
柔軟なマスター/スレーブ切り替え
ジャンパ設定により、CXPIのマスターモードとスレーブモードを簡単に切り替え可能。多様なネットワーク構成での評価を効率的に実施できます。
充実したデバッグ・評価機能 - 開発効率を最大化
視覚的な動作確認を実現
開発・デバッグを効率化する豊富なI/O機能を搭載:
- 7セグメントLED×2: 通信状態やエラーコードの表示
- プッシュスイッチ×2: イベントトリガーや機能切り替え
- ディップスイッチ(2bit): 動作モードの設定
- リセットスイッチ: システムリセット機能
高性能16ビットマイコン搭載 - ボディ系ECU開発に最適
RL78/F14マイコンの特長
- 高速処理: 最大32MHz動作
- 豊富なメモリ: ROM 48KB、RAM 4KB、Data Flash 4KB
- 車載向け設計: 高信頼性、低消費電力
- 充実したペリフェラル: CXPI、CAN、UART対応
開発サポート
E1エミュレータコネクタを標準装備。ルネサス純正開発環境との完全な互換性により、効率的なソフトウェア開発とデバッグが可能です。RAMモニタ機能にも対応し、リアルタイムでの動作解析を実現します。
通信インターフェース仕様
CXPI/CANデュアル通信対応
| 通信方式 | 仕様項目 | 詳細 |
|---|---|---|
| CXPI | チャンネル数 | 1ch |
| トランシーバ | ROHM BD41000AFJ-C | |
| 最大通信速度 | 20kbps | |
| 動作モード | マスター/スレーブ(ジャンパ切替) | |
| コネクタ | 3ピン(VBAT、BUS、GND) | |
| CAN | チャンネル数 | 1ch |
| トランシーバ | NXP TJA1040T | |
| 対応規格 | CAN 2.0A/B | |
| 最大通信速度 | 1Mbps | |
| 終端抵抗 | ジャンパで有効/無効切替可能 |
活用シーン
多様な開発フェーズに対応
1. CXPI通信評価
基本通信機能の確認
CXPIプロトコルの実装と検証、マスター/スレーブ動作の確認、通信品質の評価を効率的に実施。7セグメントLEDで通信状態をリアルタイム表示。
ネットワーク構築評価
複数のCXPIノードを接続した車載ネットワークの構築と評価。実車環境を模擬した通信負荷試験も可能です。
2. CAN/CXPIゲートウェイ開発
プロトコル変換機能
CANネットワークとCXPIネットワーク間のゲートウェイ機能の実装と評価。異なる通信速度間でのデータ変換処理を検証。
統合システム評価
既存のCAN機器と新規CXPI機器の混在環境での協調動作確認。段階的な移行戦略の検証に最適。
3. ボディ系ECU開発
ワイパー・ライト制御
スイッチ入力による制御ロジックの実装、7セグメントLEDでの状態表示など、実際のボディ系ECU機能を模擬。
センサー統合
I/Oポートを活用した各種センサーとの接続、CXPIネットワークへのセンサーデータ送信機能の実装。
製品仕様
ハードウェア仕様一覧
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 製品型名 | S810-CXG4 |
| 搭載マイコン | ルネサスエレクトロニクス RL78/F14 (R5F10PBDLNA) |
| 動作クロック | 最大32MHz(水晶発振器:8MHz) |
| 内蔵メモリ | ROM: 48KB、RAM: 4KB、Data Flash: 4KB |
| CXPIインターフェース | 1ch(ROHM BD41000AFJ-C搭載) |
| CANインターフェース | 1ch(NXP TJA1040T搭載) |
| 表示デバイス | 7セグメントLED×2 |
| 入力デバイス | プッシュスイッチ×2、ディップスイッチ(2bit)×1、リセットスイッチ×1 |
| I/Oポート | 3ポート(汎用I/O) |
| デバッグインターフェース | E1エミュレータコネクタ(14ピン) |
| 電源入力 | DC12V(ACアダプタ付属) |
| 消費電力 | 最大210mA(12V入力時) |
| 動作温度範囲 | 0~45℃(結露なきこと) |
| 外形寸法 | (W)80×(D)80mm |
| 重量 | 約45g |
付属品
- ACアダプタ(入力: AC100-240V、出力: DC12V/1.0A)
- CXPIケーブル(3ピンストレート結線、200mm)
- ハードウェアマニュアル(PDF形式、ダウンロード提供)
※以下は付属しておりません
- CANケーブル、LINケーブル
- サンプルソフトウェア
関連製品
RL78/F24ボード

よくあるご質問
Q: CXPIとLINの違いは何ですか?
A: CXPIはLINの後継規格として開発され、柔軟なネットワーク構成、イベントトリガ通信などの機能が追加されています。
Q: マスターモードとスレーブモードの切り替えはどのように行いますか?
A: ボード上のジャンパ(JP15)で簡単に切り替えできます。また、マイコンからソフトウェア制御での切り替えも可能です。詳細はハードウェアマニュアルをご参照ください。
Q: 既存のCANネットワークと接続できますか?
A: はい、CAN通信インターフェースを搭載しているため、既存のCANネットワークと接続してゲートウェイ評価が可能です。終端抵抗もジャンパで設定できます。
Q: サンプルソフトウェアは提供されますか?
A: 基本的な通信サンプルコードについては、技術サポートにてご相談を承っております。お客様の具体的な評価内容に応じて、最適なサポートを提供いたします。
Q: 複数のボードを接続してネットワーク評価はできますか?
A: はい、複数のS810-CXG4を接続してCXPIネットワークを構築できます。マスター1台に対して複数のスレーブを接続した実車に近い環境での評価が可能です。
Q: 電源仕様について教えてください。
A: DC12V入力(付属ACアダプタ使用)で動作します。車載環境を想定した12V系での評価に最適です。消費電力は最大210mAと低消費電力設計となっています。