AUTOSAR CP《CioRy AUTOSAR CAN/CAN FDパッケージ》

CioRy AUTOSARパッケージは、AUTOSAR準拠のコンパクト&高速Basic Softwareを搭載したオールインワンフレームワークです。

車載ECUに必要なCAN通信スタック(MCAL含む)、OS、RTEと、これらのモジュールを簡単に設定可能なコンフィグレータをワンパッケージにしています。プログラムサイズが小さく、マイコン処理負荷も低いためローエンドマイコンでも軽快に動作可能です。

CioRyは、自動車メーカー、部品サプライヤーなどから、40以上のECU開発プロジェクト、量産プロジェクトで使用されています。

CioRy AUTOSARパッケージとは

AUTOSARとCioRy開発背景

近年、AUTOSARというキーワードは、自動車の電子制御ユニット(ECU)開発において無視できない存在となってきています。

ソフトウェアの部品化・再利用化、グローバルスタンダード、自動車メーカーからの要求など、車載組込みソフトウェアへのAUTOSAR対応の要求は年々高まってきています。

しかし、AUTOSAR仕様は膨大かつ複雑であり、また欧州発の仕様であることからその仕様書は全て英文であるということも、車載ECU開発者のAUTOSARへの取り組みに尻込みさせる理由となっています。

AUTOSARの複雑な仕様に合わせて膨大な設定項目のあるAUTOSAR BSWのコンフィギュレータは、その設定項目の意味を理解するだけで開発者を悩ませ製品開発の時間を奪います。

また、従来のAUTOSAR BSWはプログラムサイズが大きく、ローエンドマイコンでは適用が困難であるという問題もあります。

CioRyは、AUTOSARや車載通信の知見があまりなくても、簡単な設定ですぐに通信スタックを組込みできるソフトウェアプラットフォームを目指しました。ローエンドマイコンでも軽快に動作するために、マイコン処理負荷が低く、プログラムサイズをコンパクトに収めるための設計思想を入れています。

CioRyには以下の特長があります。

CioRy AUTOSARパッケージ

CioRy AUTOSARパッケージは、AUTOSAR Classic Platform仕様に準拠したコンパクト&高速Basic Softwareとコンフィグレータを一つにしたパッケージです。

Basic Software(BSW)とは、通信スタックやOSなどソフトウェアで共通に使用する機能をモジュール化したソフトウェアプラットフォームになります。

CioRy AUTOARパッケージは、RTE(Runtime Environment), OS, CAN通信スタックの各モジュールを備え、RTEのアプリケーション側インターフェースはAUTOSAR仕様に準拠しています。 通信スタックはMCAL(Microcontroller Abstraction Layer)を搭載しているため、半導体メーカからMCAL供給を受ける必要はありません。

特長

1.MCALを搭載した軽量なプログラムサイズ

CioRy開発のきっかけは、ローエンドマイコンでも軽快に動作するAUTOSAR BSWを目指したことに始まります。しかし、軽量でマイコン処理負荷の低いBSWは、膨大なAUTOSAR仕様の実装に対する挑戦でもありました。

サニー技研では、2007年からAUTOSARへ加入するとともに、JASPAR活動や名古屋大学大学院情報科学研究科付属組込みシステム研究センター(NCES)の主宰するコンソーシアム型共同研究に参画し、AUTOSARの仕様と実装に対する知見を高めて参りました。また、当社は車載通信ネットワークのスペシャリスト企業として、自動車メーカや自動車部品メーカ向けに、車載通信ソフトウェアや車載ECUアプリケーションなど、豊富な開発実績とノウハウを培っています。

CioRyの開発にあたっては複数の自動車部品メーカーと共同で、膨大なAUTOSAR仕様からユーザが必要とする機能と不要な機能を選別して絞り込みを行いました。例えばCAN通信ではユーザが必要とする機能を最適な範囲に実装することで、全体の仕様から約6割のボリュームへの絞り込みに成功し、ローエンドマイコンでも収まるプログラムサイズに落とし込みました。

通信スタックは、サニー技研独自のクラスタリング技術で更なるサイズダウンと高速化を実現しています。モジュール内部のアーキテクチャをクラスタリング化することで、モジュール間のオーバーヘッドを軽減し、ローエンドマイコンでも軽快に動作可能なようにマイコン負荷の軽減を図っています。

一般的なフルAUTOSAR BSWのROMサイズが数百KByte程度であるのに対して、CioRy AUTOSARパッケージはAUTOSAR準拠のBSWにもかかわらず、30KByte未満でRTE, OS, CAN通信スタックのすべてのプログラムが収まるサイズを実現しています。

また、OS, RTE, CAN, DIAGを合わせてもCPU負荷率は20%未満で動作可能です。

このコンパクトさは、ローエンドマイコンはもちろんのこと、ハイ/ミドルエンドマイコンでの適用にも威力を発揮します。

Size CAN OS RTE DIAG 合計
ROMサイズ
13.3KB
4KB
821byte
4KB
22KB
RAMサイズ
632byte
113byte
36byte
606byte
1.4KB

CioRy ROM/RAM使用量参考値 (RL78/F14マイコン)

※IAR製コンパイラでの値となります。

2.手軽なコンフィグレーション

AUTOSARの膨大で複雑な仕様を全て熟知することは困難です。そして、AUTOSAR BSWの数百にもなるコンフィグレーション設定の項目内容を理解するだけでも開発者には大変な負担を強いることになります。

CioRy AUTOSARパッケージは、膨大なAUTOSAR仕様からユーザが必要になる最小限の設定項目を抽出し、コンフィグレータで手軽に設定できることを目指しました。

例えばCioRyのCAN通信スタックのコンフィグレーションに必要な設定は約40項目となり、一般的なフルAUTOSAR BSWと比較すると約1/10の項目数に簡素化しています。

CioRyコンフィグレータは、パソコンのGUI画面から設定した内容にしたがって、BSWのソースファイルを生成します。

CioRy コンフィグレーションの流れ

3.モジュール単体で使用が可能

AUTOSARへの移行を検討する際、将来的にはソフトウェアコンポーネント(SW-C)構成でのアーキテクチャへの移行を検討しているが、まだ時期尚早という場合もあるかと思います。CioRy製品パッケージは、RTEは使わない、OSは不要、CANモジュールだけで良いユーザに対しては通信ミドルパッケージとして通信スタックだけで使用できる構成となっています。

例えば、最初はCAN通信スタックのみでCioRyを導入しておき、将来的な拡張が必要になった際に追加でRTE, OSをパッケージ購入するような段階的な導入が可能です。

4.ユーザーの開発フェーズに合わせたライセンスをご提供

CioRyは、ユーザーの開発フェーズに合わせて様々なライセンス形態をご提供しています。

ECU受注前に先行評価や試作開発を行いたい場合は、開発ライセンスを導入する事で初期費用を抑えてCioRyパッケージを自由に使用できます。ECU量産決定後は、量産ライセンスを追加で導入することで、ユーザー環境に合わせて量産品質評価を実施したCioRyパッケージをご提供します。

そのため、ユーザーの開発フェーズやご予算に合わせたライセンス導入が可能です。

製品ラインナップ

製品パッケージ構成

CioRyは、ユーザのニーズに合わせて製品パッケージを選択できます。
AUTOSARパッケージは、RTE, OSと通信スタックを含めたオールインワンのフルパッケージです。
通信ミドルパッケージは、通信スタックのみのパッケージとなります。 その他、オプションでダイアグ通信モジュールもご用意しています。

CioRy AUTOSARパッケージ対応マイコン一覧

製品パッケージ区分 製品名 対応マイコン
AUTOSARパッケージ
(RTE,OS,通信スタック,MCALと
CioRyコンフィグレータのパッケージ)
CioRy AUTOSAR CANパッケージ
ルネサスエレクトロニクス
RL78/F13・F14
CioRy AUTOSAR CAN FDパッケージ
ルネサスエレクトロニクス
RH850/F1K
RH850/F1KM-S1
RH850/F1KM-S2
RH850/F1KM-S4

CioRyオプションパッケージ対応マイコン一覧

製品パッケージ区分 製品名 概要 対応マイコン
オプションパッケージ
CAN Diagオプション
CAN Diag用Tpモジュール
ルネサスエレクトロニクス
RL78/F13・F14
RH850/F1L
RH850/F1K
AUTOSAR CAN NM
AUTOSAR準拠CAN NMモジュール
ルネサスエレクトロニクス
RH850/F1L
RH850/F1K
RH850/F1KM-S1
RH850/F1KM-S2
RH850/F1KM-S4
RH850/U2A
AUTOSAR準拠メッセージ認証モジュール
ルネサスエレクトロニクス
RL78/F24
RH850/F1KM-S2
RH850/F1KM-S4

CioRy 通信ミドルパッケージ対応マイコン一覧

製品パッケージ区分 製品名 対応マイコン
通信ミドルパッケージ
(通信スタック,MCALと
CioRyコンフィグレータのパッケージ)
ルネサスエレクトロニクス
RL78/F13・F14
RH850/F1L
ルネサスエレクトロニクス
RL78/F24
RH850/F1K
RH850/F1KM-S1
RH850/F1KM-S2
RH850/F1KM-S4
RH850/U2A
ローム
ML63Q8057
ルネサスエレクトロニクス
RH850/F1L
RH850/F1K
ルネサスエレクトロニクス
RL78/F13・F14
RH850/F1L
ローム
ML63Q8057
ルネサスエレクトロニクス
RL78/F13・F14
RL78/F24

オプション対応

種別 概要
サポート契約
CioRyに関する問い合わせ対応(QAサポート)、最新Ver.提供
マイコン対応
指定マイコンへの対応
仕様対応
特別仕様、OEM仕様、オリジナル仕様への対応
その他ご要望
CioRyをベースとした派生開発への対応、ドライバーやNMモジュールのみのご提供な

サポート対応

開発ライセンス、量産ライセンスともに、導入後のサポート対応が付帯しています。(ライセンス形態によりサポート期間・対応時間制限は変わります)
ユーザーへのサポート対応は、CioRyの開発担当者が直接対応致しますので導入後の心配はありません。

カスタム受託開発

CioRyパッケージをベースソフトにして、カーメーカ―通信仕様への対応やユーザーご要求仕様にカスタマイズ対応をお引き受けすることも可能です。
車載通信ソフト開発の豊富な経験と実績があるサニー技研へお気軽にご相談ください。

製品仕様

対応仕様一覧

モジュール 対応仕様
BSW
AUTOSAR Release.4.0.3準拠 ICC1レベル
RTE
NCES 次世代車載システム向けRTE外部仕様書準拠
OS
BCC1(ECC1対応可)
CAN通信スタック
NMはカスタムでOSEK/VDX仕様、AUTOSAR NM仕様への対応可能
LIN通信スタック
LIN Rev.2.1仕様準拠
CXPI通信スタック
JASO D015仕様準拠
CAN FD通信スタック
NMはカスタムでOSEK/VDX仕様、AUTOSAR NM仕様への対応可能

注意事項

CioRy AUTOSARパッケージはAUTOSAR仕様に基づいていますが、AUTOSARはAUTOSAR仕様に基づいたソフトウェアを商用目的で利用する者に対して、AUTOSARパートナーになることを求めていますのでご留意ください。詳しくは、AUTOSARのFAQをご覧ください。

参照 URL: https://www.autosar.org/

お問い合わせ

CioRyへのお問い合せは、こちらからお願いいたします。