MicroPeckerX CAN-FD Analyzerは、CAN通信、CAN FD通信の評価に必要なデータモニタリング機能、ノードシミュレーション機能を備えた通信アナライザツールです。
手のひらサイズの本体には、CAN / CAN FD切替可能なデュアルチャンネルインターフェースを2ch搭載。各ch毎にCAN通信またはCAN FD通信のモニタリング、ノードシミュレーションが可能です。最大8chの同時モニタリングに対応しています。
従来製品のMicroPecker CANバスアナライザから進化したCAN / CAN FDバスアナライザです。
MicroPeckerXとは
CAN / CAN FDアナライザツール概要
自動車開発は、自動運転の実現へと進んでおり、車載制御通信には、大容量高速通信と通信の安全性確保のためのセキュリティ技術が求められています。現在、自動車の制御ECUをつなぐ車載通信はCAN通信が主流ですが、次世代車載通信規格としてCAN通信プロトコルを拡張したCAN FD通信が実車に搭載されつつあります。CAN FD通信では、CAN通信と比較してデータフィールドの最大64バイト化、通信ボーレート高速化を実現しています。
MicroPeckerX CAN-FD Analyzerは、次世代車載通信規格のCAN FD通信とCAN通信に対応した通信アナライザツールです。従来のMicroPecker製品の小型軽量という良さを踏襲しつつ、ハードウェアとソフトウェアを一新しています。追加機能の「MicroPeckerXメッセージ認証機能プラグイン」を追加導入することで、車載通信セキュリティに対応したCAN通信、CAN FD通信のメッセージ認証子付きデータの送受信へ機能拡張が可能になります。
また、MicroPeckerXをCAN通信、CAN FD通信のインターフェース機器として活用するために、ユーザーがCAN通信、CAN FD通信を使ったアプリケーションを自由に開発できるライブラリや、Linux環境で使用できるドライバやライブラリを無償でダウンロード提供しています。
特長
CAN / CAN FDデュアルチャンネル(2ch)対応アナライザ
MicroPeckerX CAN-FD Analyzerは1台でCAN通信 / CAN FD通信の2ch同時モニタリングやノードシミュレーションに対応しています。CAN通信プロトコル、CAN FD通信プロトコルのモニタリングデータは、MicroPeckerX CAN-FD Analyzerが自動判定。ユーザーは通信プロトコルの違いを意識せずに使用できます。
◆最大8ch Bus評価に対応
さらには必要に応じて、多チャンネルのCAN通信 / CAN-FD通信のBus評価に拡張できます。
MicroPeckerX CAN-FD Analyzerを最大4台同期することで、8chまでの同時モニタリング、ノードシミュレーションが可能の他、従来のMicroPecker製品(RAMモニタ、LINアナライザ、CANアナライザ)との同期も可能です。
多チャンネル化が進むECU開発に、MicroPeckerXは威力を発揮します。
システム構成例
◆シンプルでコンパクトなデザイン
評価環境の構築は、電源の用意や配線など面倒なものです。
MicroPeckerXは、手のひらサイズでコンパクト。本体重量はわずか45gで持ち運びも楽々です。
MicroPeckerXの携帯性の高さを生かすため、動作はパソコンからのUSBバスパワー供給で外部電源は不要。GUIアプリケーションは複数のパソコンにインストールが可能です。まさに、MicroPeckerXをパソコンにつないだ瞬間に通信モニタ環境を構築できる、一人に一台ご使用いただける手軽さです。
MicroPeckerX CAN-FD Analyzerアプリケーション機能
モニタリング機能
接続されたCANバス、CAN FDバスのフレームデータをモニタリングします。
2chデータを同時表示するDual Viewへの切り替えに対応しています。
- 特定フレームデータを受信条件に設定して、トリガ検出によるロギング開始、停止制御が可能
- フィルタ機能により表示出力するフレームを制限することが可能
- 任意のフレームにラベル名の付与や強調表示を行うことがで可能
- モニタリング中に現時点の出力内容を取得できるキャプチャ機能を搭載
- モニタ時、CAN ID毎の最新フレームのみを一覧で表示することが可能
- CAN/CAN FDモニタ中のCAN/CAN FDバスの負荷状態をリアルタイムグラフ表示で確認可能
ノードシミュレーション機能
従来製品のMicroPecker Analyzerと比べて、ノードシミュレーションの送信時間分解能が10倍に向上しました。0.1msec単位での送信時間の設定が可能になったことで、送信時間の微調整ができるようになり、高負荷状態のバス評価では、1msec送信の微調整に活用できます。
CAN/CAN FD通信のノードシミュレーション機能として以下のモードが使用できます。
◆スロット送信モード
- 登録したフレームの設定に合わせてフレームの送信を実行、最大28フレームまで登録可能
- 周期送信指定周期毎にフレームを送信可能
- イベント送信特定条件のモニタフレーム検出やキー入力によりフレームを送信可能
- イベント周期送信周期送信とイベント送信の両方のタイミングでフレームを送信可能
◆バースト転送モード
- 1フレームまたはログ再生による連続送信でバス負荷100%の状態を構築するバースト転送機能
- 特定フレームをCAN/CAN FDバスの負荷100%状態で送信可能(1フレーム送信)
- ログをCAN/CAN FDバスの負荷100%状態で送信
◆ログ再生モード
- 最大120万レコードまでのログデータを送信フレームとして送信可能とするログ再生機能
- 読み込んだログファイルにしたがってフレームを送信
ゲートウェイ解析機能
ログ解析機能を使用してゲートウェイメッセージの遅延時間計測、消失検出機能、滞留数の解析が可能です。
標準ソフトウェアVer.2.20から異なるプロトコル/ID間でのゲートウェイに対応しました
◆ゲートウェイ遅延計測
ゲートウェイ対象として指定されたフレームのゲートウェイ元chからゲートウェイ先chのタイムスタンプの差を計測し、最大値、最小値、平均値を取得。
◆ゲートウェイメッセージ消失解析
ゲートウェイ元chからフレームが出ているにも関わらず、ゲートウェイ先chで該当フレームが出ない場合は消失として報告。
◆ゲートウェイ滞留解析
ゲートウェイ対象として指定されたフレームのゲートウェイ元chからゲートウェイ先chの出現数の差を計測してそのピーク値を取得、ゲートウェイ先chのピーク値を取得。
MicroPeckerXオプション製品
MicroPeckerXメッセージ認証機能プラグイン
MicroPeckerX メッセージ認証機能プラグイン《S810-MX-PM1》は、MicroPeckerX CAN-FD Analyzerに車載通信セキュリティ機能を追加する機能拡張プラグインです。MicroPeckerXにメッセージ認証機能プラグインを追加することで、メッセージ認証子付きCAN通信、CAN FD通信に対応し、メッセージデータのMAC値、FV値のモニタリングデータ表示や、メッセージ認証子付きデータの送受信が可能になります。メッセージ認証セキュリティプロファイルJASPAR仕様をプリセット設定していますので、簡単な設定ですぐにご使用できます。
※MicroPeckerXメッセージ認証機能プラグインのご使用には、別途ライセンス購入が必要です。
MicroPeckerX CAN-FDアプリケーション開発ライブラリ
MicroPeckerX CAN-FDアプリケーション開発ライブラリは、ユーザー作成のアプリケーションからMicroPeckerX CAN-FD Analyzerを制御できるライブラリです。本ライブラリを使うことで、MicroPeckerX CAN-FD Analyzerを制御して、CAN通信、CAN FD通信を用いたアプリケーションを簡単に開発することができます。ユーザーオリジナルの通信評価ツールやシーケンス処理が必要なダイアグ通信ツール、リプログ通信ツールなど、アプリケーション開発でご自由にお使いください。
MicroPeckerX CAN-FDアプリケーション開発ライブラリは、MicroPeckerXの制御API群をパッケージし、CAN通信/CAN FD通信のデータ取得、データ送信をアプリケーションに組込むことができます。Windows OS, Linux OSにそれぞれ対応しています。MicroPeckerX CAN-FDアプリケーション開発ライブラリのAPI仕様は、Windows版、Linux版とも同じですので、Windows版からLinux版への移植が容易にできます。
MicroPeckerX CAN-FDアプリケーション開発ライブラリは専用ページより無償でダウンロードいただけます。
Linux対応 MicroPeckerX SocketCANドライバ
Linux対応 MicroPeckerX SocketCANドライバは、MicroPeckerX CAN-FD Analyzerに対応したSocketCANドライバセットです。Linux環境でCAN通信、CAN FD通信を利用したアプリケーション開発を可能にします。
SocketCANでは、通常のネットワークデバイスと同様に、Socketインターフェースを用いてデータの送受信を行います。そのため、TCP/IPなどを用いたネットワークプログラムと同様の記述で、CAN通信/CAN FD通信データの取り扱いが可能です。また、SocketCANはLinux Kernelレベルで動作するので、様々なLinuxアプリケーションがそのまま使用できます。CAN通信、CAN FD通信を既存のLinux資産と組み合わせて制御できます。
MicroPeckerX SocketCANドライバは専用ページより無償でダウンロードいただけます。
MicroPeckerX InstaGW
MicroPeckerX InstaGW(マイクロペッカーエックス インスタゲートウェイ)は、CAN通信とCAN FD通信をつなぐプロトコル変換ゲートウェイツールです。
CAN通信バスとCAN FD通信バスの間にMicroPeckerX InstaGWをつなぐことで、MicroPeckerX InstaGWがCAN通信とCAN FD通信を橋渡しします。
ゲートウェイするフレーム設定はExcelベースの簡単設定。MicroPeckerX InstaGWを介して、任意のフレームをプロトコル変換して送受信することができます。
製品仕様
MicroPeckerX本体仕様
◆接続インターフェース
名称 | MicroPeckerX CAN-FD Analyzer | |
ホストインターフェイス | USB 2.0 High Speed(480Mbps) | |
ホスト動作環境[*1] | PC | IBM PC/AT互換機 |
OS[*2] | Windows 11(64bit), 10(64bit), 8.1(64bit) | |
CPU | Intel社製またはAMD社製のx86プロセッサ(Core i5/Ryzen5以上推奨) | |
ハードディスク | 10Gbyte以上の空き容量[*3] | |
メモリ | 8Gbyte以上を推奨 | |
USBポート | USB2.0(High Speed)対応で、接続するMicroPeckerX本体の台数分必要[*4] | |
画面解像度 | 1920×1080以上を推奨 | |
その他 | モニタ、キーボード、マウス | |
電源 | USB Bus Power(5V、300mA) | |
寸法[*5] | 65(W)×35(D)×16(H)mm | |
重量 | 45g |
[*2]:仮想環境での動作は未サポートです。
[*3]:長時間のモニタリングをする場合は、十分なハードディスクの空き容量を確保してください。
[*4]:外付けのUSBハブを用いて接続する場合は、必ずセルフパワー対応機器を選定いただき、外部より電源を供給した上で接続ください。USBハブをバスパワー駆動で接続した場合、動作しない、または不安定になることがあります。
[*5]:寸法には、接続端子の突起部は含まれておりません。
Dsub端子詳細
◆MicroPeckerX 本体・Dsubコネクタ
Pin | Function |
1 | CAN Lo(CH1) |
2 | CAN Lo(CH0) |
3 | GND |
4 | Not Connected |
5 | Not Connected |
6 | GND |
7 | CAN Hi(CH0) |
8 | CAN Hi(CH1) |
9 | Not Connected |
◆CAN 1chクリップケーブル端子
Pin | Function |
1 | NotConnected |
2 | CAN Lo |
3 | GND |
4 | Not Connected |
5 | Not Connected |
6 | Not Connected |
7 | CAN Hi |
8 | Not Connected |
9 | Not Connected |
色 | Function |
白 | CAN Hi |
青 | CAN Lo |
黒 | GND |
◆CAN 2ch Dsubケーブル端子
Dsub9Pin分岐(2chの端子から1ch毎に分岐)
Pin | Function |
1 | Not Connected |
2 | CAN Lo |
3 | GND |
4 | Not Connected |
5 | Not Connected |
6 | Not Connected |
7 | CAN Hi |
8 | Not Connected |
9 | Not Connected |
機能仕様
CAN / CAN FDインターフェース | 2ch | |
対応チャンネル数 | 2ch/1台、最大8ch(本体4台)までの同時接続可能 | |
マルチチャンネル同期機能 | モニタタイムスタンプ同期 | 最大8ch(本体4台)間のモニタデータ時刻同期 |
シミュレーション送信タイミング同期 | 最大8ch(本体4台)間のシミュレーション時刻同期 | |
ログ再生送信タイミング同期 | 対応 | |
通信設定 | プロトコル | CAN / CAN FD 選択可能 |
通信ボーレート:アービトレーションフェーズ | 簡易設定では、以下の4種類が選択可能 125kbps / 250kbps / 500kbps / 1Mbps 詳細設定では、プリスケーラや各セグメントの設定により、フレキシブルな設定が可能 |
|
通信ボーレート:データフェーズ | 簡易設定では、以下の6種類が選択可能 125kbps / 250kbps / 500kbps / 1Mbps / 2Mbps / 5Mbps 詳細設定では、プリスケーラや各セグメントの設定により、フレキシブルな設定が可能 |
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モニタ機能 | タイムスタンプ分解 | 1μs |
ロギング可能容量 | ロギング先のディスクの容量に依存 | |
トリガモード | フリーラン、開始トリガ、終了トリガ | |
トリガ条件 | 指定ログ検出、キー入力 | |
ロギング出力先 | ファイル、ハードディスク内 | |
ロギング書式 | テキスト形式(CSV)、16進数出力 | |
シグナルモニタ機能 | シグナルモニタ設定数 | 64 ※開発中 |
エンコード形式 | なし / 物理値 / 論理値 / BCD変換 / ASCII ※開発中 |
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モニタ中のシグナル表示 | 対応予定 ※開発中 |
|
モニタ中のグラフ表示 | 1 ※開発中 |
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シミュレーション送信機能 | 送信時間の分解能 | 0.1ms |
送信時間の保証精度 | 0.2ms | |
設定フレーム数 | 28フレーム | |
フレーム種別 | 周期送信、イベント送信、イベント周期送信 | |
送信周期 | 0.1ms~60000msの範囲で設定可能(0.1ms単位) | |
初回送信オフセット | 0ms~60000msの範囲で設定可能(0.1ms単位) | |
送信カウント | 0~60000回の範囲で設定可能 ※0は制限なし設定 |
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イベント種別 | フレーム受信トリガ、キートリガ | |
イベント検出後の送信Delay | 0ms~60000msの範囲で設定可能(0.1ms単位) | |
同一フレームの送信間隔保証時間 | 0.1ms~59999msの範囲で設定可能 | |
ログ再生送信機能 | 送信時間の分解能 | 0.1ms |
送信時間の保証精度 | 0.2ms | |
先頭フレーム送信オフセット | 0.1ms~60000msの範囲で設定可能 | |
ログ再生開始タイミング | モニタ開始直後、フレーム受信トリガ、ログトリガ、キートリガ | |
転送モード | ループあり/なし | |
対応チャンネル数 | 最大4ch(1デバイスにつき1ch) | |
バースト転送機能 | 1フレーム送信 | 対応 |
ログバースト送信 | 対応 | |
転送開始タイミング | モニタ開始直後、フレーム受信トリガ、ログトリガ、キートリガ | |
転送モード | ループあり/なし | |
対応チャンネル数 | 1ch | |
ログ解析機能 | ゲートウェイ遅延解析 | ゲートウェイ対象フレームのゲートウェイ遅延時間を計測 |
ゲートウェイメッセージ消失検出 | ゲートウェイで消失したメッセージの検出 | |
ゲートウェイ滞留数ピーク値解析 | ゲートウェイ対象フレームをゲートウエイ側で保留したピーク値を計測 | |
バス負荷解析 | 任意の単位時間あたりのバス負荷を計測(%、グラフ表示) ※開発中 |
|
シグナル解析 | 特定CAN IDのシグナル値のトレース(物理量変換表示、グラフ表示) ※開発中 |
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フレーム周期解析 | 特定CAN IDのフレーム周期を計測(Max,Min,Avarage) | |
シグナル値変換によるログファイル出力 | 対応予定 ※開発中 |
|
設定情報の保存と読み出し | xml形式で保存 | |
MicroPeckerとのタイムスタンプ同期 | MicroPecker RAMモニタ、LINアナライザ、CANアナライザとのモニタデータ時刻同期に対応 |
※開発中機能は、今後のアップデートで対応を計画中です。
製品ラインナップ
◆MicroPeckerX フルセットモデル
用途に合わせて選べるケーブル2タイプを用意
製品タイプ | TypeA -Clip 1ch Cable Set- | TypeB -CAN 2ch Cable Set- | |
製品名 | MicroPeckerX CAN-FD Analyzer CB1パッケージ | MicroPeckerX CAN-FD Analyzer CB2パッケージ | |
製品型番 | S810-MX-FD1-A | S810-MX-FD1-B | |
セットイメージ | |||
製品同梱品 | MicroPeckerX本体 (Standard Model) |
||
USB(microB)ケーブル | |||
同期ケーブル(25cm) | |||
Webダウンロード[*1] | GUIアプリケーション | ||
ユーザーズマニュアル | |||
CANケーブル | CAN 1ch クリップケーブル(0.3m) | ||
CAN 2ch Dsubケーブル(0.3m) |
お客様の環境によりCD-ROM(有償)が必要な場合は、別途お問合わせください。
MicroPeckerX インターフェースモデル
MicroPeckerX本体とソフトウェアライセンスを組合わせることで、MicroPeckerX CAN-FD Analyzer《S810-MX-FD1》の標準ソフトウエアをフルライセンスでご使用できます。
製品名 | 製品型番 | 製品形態 | 詳細 |
MicroPeckerX インターフェースモデル | S810-MX-HW1 | ハードウェア | MicroPeckerX本体とモニタライセンスが付属した製品 |
MicroPeckerX CAN-FD Analyzerソフトウェアライセンス | S810-MX-SW1 | ソフトウェア | MicroPeckerX CAN-FD Analyzerの標準ソフトウェアのフルライセンス MicroPeckerX本体に《S810-MX-FD1》としての標準機能を全て付与します |
◆オプションケーブル
オプションケーブル単体でのご購入も可能です。
製品タイプ | クリップタイプケーブル | CAN 2ch分岐ケーブル |
製品名 | CAN 1ch クリップケーブル | CAN 2ch Dsubケーブル |
製品型番 | S810-MX-CB1 | S810-MX-CB2 |
製品概要 | Dsub9PinコネクタからCAN-Hi、CAN-Lo, GNDをクリップ出力 |
Dsub9Pin分岐(2chの端子から1ch毎に分岐) |