MicroPeckerX InstaGW《S810-MX-GW2》
MicroPeckerX InstaGWとは
“既存のCAN通信システムをCAN FD通信とつなげたい” を簡単に実現
ゲートウェイするフレームはExcelベースの簡単設定。MicroPeckerX InstaGWを介して、任意のフレームをプロトコル変換して送受信することができます。 PCレスのスタンドアロンで動作するツールなので、通信バスに繋いですぐに使えます。
- CANで構築した試験環境をCAN FD向けに流用
- CAN FD通信搭載ECUをCANネットワークにつなげて機能検証
- 特定IDのフレームだけ抽出して通信バスに流す
1. 遅延の少ない高速ゲートウェイ

MicroPeckerX InstaGWは、MicroPeckerX本体搭載の2チャンネルCAN/CAN FDインターフェースを活用して、チャンネル1とチャンネル2の間でフレームのゲートウェイを行います。
ゲートウェイ処理は、MicroPeckerX本体内部で行う為、遅延の少ない高速ゲートウェイを実現しています。
即時ゲートウェイ機能では、チャンネル間のゲートウェイ遅延は3.5μsec前後となり、瞬時の送受信が可能です。
2. 即時ゲートウェイと通常ゲートウェイの2タイプのゲートウェイ機能
ユーザーの用途に合わせた2種類のゲートウェイ機能を搭載しています。即時ゲートウェイと通常ゲートウェイは併用可能です。
即時ゲートウェイ機能
即時ゲートウェイ機能は、MicroPeckerX本体のハードウェア機能を使ったゲートウェイ処理のため、遅延の少ない瞬時のゲートウェイが可能です。
CH1→CH2、CH2→CH1のゲートウェイ送信を最大32個のIDまで設定可能です。
指定IDのフレームを受信した際に、片方のCHで指定したプロトコル、DLの同一IDフレームを送信します。また、ゲートウェイ対象ID、DLは、アスタリスク表記によるワイルドカード指定が可能です。
通常ゲートウェイ機能
通常ゲートウェイ機能は、MicroPeckerX本体のソフトウェア処理によるゲートウェイです。そのため、ゲートウェイ送信を任意のタイミングにずらすなどの設定が可能となります。
CH1→CH2、CH2→CH1のゲートウェイ送信を最大64個のIDまで設定可能です。
指定IDのフレームを受信した際に、片方のCHで指定したプロトコル、ID、DLのフレームを送信します。また、送信するタイミングは任意にずらすことが可能です。
ゲートウェイの仕組み
CH1とCH2との間で、MicroPeckerX本体を通じて、プロトコル変換、ID付替、CH間のIDフィルタリングを行うことができます。
※CAN FDからCANへのプロトコル変換時、CAN FDメッセージの8byte以上のデータ部は削除します。
3. プロトコル変換以外の機能も充実
ID絞り込みゲートウェイ
CAN/CAN FDゲートウェイ以外にも、同一プロトコル同士のCAN/CANゲートウェイやCAN FD/CAN FDゲートウェイも可能です。特定の指定IDのみをCH1のバスからCH2のバスへ流す、などの使い方もできます。
周期送信機能
MicroPeckerX InstaGWは、単体での周期送信機能を実装しています。ゲートウェイ処理を併用しながら、2チャンネルの周期送信が可能ですので、スタンドアロンの模擬ノードとしても利用できます。
ID変換
通常ゲートウェイ機能において、ゲートウェイ元とゲートウェイ先で異なるIDを設定(ID変換)できます。

ID変換イメージ
4. 簡単設定
ゲートウェイ設定や周期送信設定は、Excel形式のファイルに記述しますので、難しい操作は不要です。
付属の設定ツールを使って、PCからMicroPeckerX本体へ設定情報を書き込むだけで動作可能です。
また、MicroPeckerX本体の設定情報は設定ツールで読み出しも可能です。
5. スタンドアロン動作が可能
MicroPeckerX InstaGWは、PCレスで動作します。
MicroPeckerX本体へはUSBから電源供給を行いますので、モバイルバッテリー等で電源供給すれば屋外での利用も可能です。
ユースケース
新規開発のCAN FD搭載ECUをCANネットワークに接続

CAN FD通信搭載ECUを機能検証のため、既存のCANネットワークのノードと接続したい場合、MicroPeckerX InstaGWで手軽にプロトコル変換に利用できます。
既存のCANシステムをCAN FD通信に変換

HILSなどの高価な評価環境をCAN FD通信に置き換えると費用がかかります。 MicroPeckerX InstaGWで安価にプロトコル変換を実現します。
通信バスに流れる特定IDのメッセージを絞り込み抽出

通信バスに流れる多数のフレームデータから、特定IDのデータのみを絞り込んでゲートウェイ。
周期送信スタンドアロン模擬ノード

モバイルバッテリーとつないで、簡易的な手持ちCANデータ送信機にもなります。
製品仕様
製品パッケージ




| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | MicroPeckerX InstaGW |
| 製品型名 [*1] | S810-MX-GW2 |
| 同梱品 [*2] | ・MicroPeckerX本体 ・CAN 2ch Dsubケーブル(S810-MX-CB2同等品) ・USB(microB)ケーブル ・同期ケーブル ・保証書兼解説書 (MicoPeckerX InstaGWライセンス) |
[*1]:旧パッケージ製品《S810-MX-GW1》と機能、同梱物に変わりはありません。
[*2]:アプリケーションソフトウェア、ユーザーズマニュアルはWebページからダウンロードとなります。
機能仕様一覧
| 項目 | 内容 | |
|---|---|---|
| CAN/CAN FDインターフェース | 2CH | |
| チャンネル毎の設定 | プロトコル | CAN/CAN FD選択可能 |
| 通信ボーレート:アービトレーションフェーズ | 以下の4種類が選択可能 125kbps/250kbps/500kbps/1Mbps | |
| 通信ボーレート:データフェーズ | 以下の5種類が選択可能 500kbps/1Mbps/2Mbps/4Mbps/5Mbps ※アービトレーションフェーズで125kbpsを選択した場合は500kbpsに補正 | |
| サンプルポイント | 以下の6種類が選択可能 60%/65%/70%/75%/80%/85% ※通信ボーレート:データフェーズで5Mbpsを設定した場合は75%に補正 | |
| 終端抵抗 | 有効/無効 選択可能 | |
| ゲートウェイ機能(共通) | ゲートウェイルーティングCH | ID毎にCH1->CH2/CH2->CH1選択可能 |
| ID種別 | 標準ID/拡張ID選択可能 | |
| シグナルゲートウェイ | なし | |
| 即時ゲートウェイ機能 | ID設定可能数 | 最大32 (CH1->CH2、CH2->CH1合計) |
| 対象ID、DL | ワイルドカード指定可能 | |
| ゲートウェイレイテンシー | 3.5μs程度[*1] | |
| 通常ゲートウェイ機能 | ID設定可能数 | 最大64 (CH1->CH2、CH2->CH1合計) |
| 対象ID、DL | 個別設定必要 | |
| ID付替え | CH1->CH2/CH2->CH1で任意のIDへ付替え設定可能 | |
| 送信遅延設定 | 0~65535msの範囲で設定可能(1ms単位) | |
| ゲートウェイレイテンシー | 12.5μs~20μs程度(データ長依存)[*1] | |
| 周期送信機能 | 送信CH指定 | ID毎にCH1/CH2指定可能 |
| ID種別 | 標準ID/拡張ID 選択可能 | |
| 設定フレーム数 | 最大32 (CH1、CH2合計) | |
| 送信時間の分解能 | 1ms | |
| フレーム種別 | 周期送信 | |
| 送信周期 | 1ms~65535msの範囲で設定可能 (1ms単位) | |
| 初回送信オフセット | 0ms~65535msの範囲で設定可能 (1ms単位) | |
| 送信カウント | 設定なし | |
| 同一フレームの送信間隔保証時間 | 機能なし | |
| 通信ログ出力機能 | なし | |
| 設定情報の保存と読み出し | Excel形式で保存 | |
| 連続稼働可能時間 | 49日と17時間まで | |
[*1]:CAN FD通信(アービトレーションフェーズ500kbps、データフェーズ2Mbps)での計測値となります。
ハードウェア仕様
MicroPeckerX本体仕様


| 項目 | 内容 | |
|---|---|---|
| ホストインターフェース | USB 2.0 High Speed(480Mbps) | |
| ホスト動作環境[*1] | PC | IBM PC/AT互換機 |
| OS[*2] | Windows 11(64bit), 10(64bit), 8.1(64bit) | |
| CPU | Intel社製またはAMD社製のx86プロセッサ(Core i5/Ryzen5以上推奨) | |
| ハードディスク | 10Gbyte以上の空き容量[*3] | |
| メモリ | 8Gbyte以上を推奨 | |
| USBポート | USB2.0(High Speed)対応で、接続するMicroPeckerX本体の台数分必要[*4] | |
| 画面解像度 | 1920×1080以上を推奨 | |
| その他 | モニタ、キーボード、マウス | |
| 電源 | USB Bus Power(5V、300mA) | |
| 寸法[*5] | 65(W)×35(D)×16(H)mm | |
| 重量 | 45g | |
[*1]:省電力機能を持つPCの場合は、本製品使用中にPCのスリープ、HDDの停止、CPUクロックの低下が発生しないように設定してください。
[*2]:仮想環境での動作は未サポートです。
[*3]:長時間のモニタリングをする場合は、十分なハードディスクの空き容量を確保してください。
[*4]:外付けのUSBハブを用いて接続する場合は、必ずセルフパワー対応機器を選定いただき、外部より電源を供給した上で接続ください。USBハブをバスパワー駆動で接続した場合、動作しない、または不安定になることがあります。
[*5]:寸法には、接続端子の突起部は含まれておりません。
Dsub端子仕様
MicroPeckerX 本体・Dsubコネクタ
CAN 2ch Dsubケーブル端子
CANケーブルは製品に同梱しています。

